令和6年能登半島地震で気付いた防災
元日からの地震で石川県、特に能登地方は大変な被害に遭い、ライフライン復旧も未だに成らずと未曾有の事態となっています。心から御見舞申し上げます。
我々が居住する富山県も観測史上初の震度5を観測して慣れない復旧作業に四苦八苦しています
地震からやがてひと月経ちますが被害に遭われた家々を廻っているうちに気付いた事を(対策や地震保険について)現段階でまとめようと思います
地震に対する被害も、保険の対応も初めての事ばかりだったので少しはお役に立てればとUPします
※個人的な意見なので興味のない方やお気に召さない方はスルーしてください
当社は加工機の台が崩れたくらいで済みました
地震保険/罹災証明
今回は地震が要因の被害ですので火災保険の自然災害特約等は適用されず、地震保険が適用されます(火災保険のオプション)
なので地震が原因で倒壊して火災が発生しても火災保険の適用ではなく地震保険の適用となるようです
自然災害に対する保険は風害/雪害などで被害に遭った箇所の復帰工事に対する工事金額に応じて一部~全額が支給されます
対して地震保険は火災保険に付随しますので建物に対する価値(掛けている保険額)に対するパーセント額(被害の規模)しか支払われません
被害規模は罹災証明も似たような感じですが、被害が大きい順に
(被害大) 全壊 → 大規模半壊 → 小規模半壊 → 一部破損 → 被害なし (被害小)
となります。保険支払い割合は会社によって多少違うようですが、一部損壊で3%や5%、小規模半壊で30%大規模半壊で60%となります (全壊は100%)
例えば2,000万円で建てた家で考えると一部損壊で5%支払われる場合
築年数が若く、保険対象が2,000万円(建物評価額)だと 20,000,000×0.05=1,000,000で100万円支払われますが
築年数が経っていて保険対象が500万の場合 5,000,000×0.05=250,000で25万円しか支払われません
数字が出てきてややこしくなりますが、築年数がある程度経っていて一部損壊とみなされると上の例でみると 屋根瓦が落ちたり多少の家の傾きが発生して仮に修繕費が100万円掛かろうが25万円しか保険からは支払われません(残りの75万円ば手出しになります)
又、保険でも共済に加入の方は更に少額しか支払われない様です(共済なだけに掛け金がお手頃な分、支払額も少ない又は無い)
罹災証明に関してはもっとシビアで見舞金的な扱いなので、半壊以上でしか給付されません
扱いとしては被災して住む場所が無くなった方の仮住まいの為の証明など、本当に生活に困窮した方への使用がメインのようで一部破損等の辛うじて生活できる被災には融資の為の証明ていどにしかならないみたいです(詳しくは行政のHP等を参考にしてください)
以上の事から今回判った事まとめ
①地震保険は被災した修繕の工事規模には関係なく、被災規模に対し一定額しか支払われない
②共済は更に支払い基準が厳しく、支払われない場合もある(被災規模による)
③罹災証明は半壊以上で初めて補助(金)が支給される(固定資産税や健康保険の減免はあるみたいです)
地震(災害)に対する備え
長くなりますが、上記の保険等を鑑みて個人的にですが思った事です
①支払額はシビアだか、やはり地震保険には加入すべき
支払い額はシビアですが、もし保険に入っていない場合、一銭も手元に入ってきません。仮に全壊した場合、罹災証明を得れば行政から300万円が支払われるようですが、建物の解体金額程度でその後の再建の資金には不十分だと思います
②最低でも共済加入か、個人で建物維持の貯金をするべき
お客様にも常々お話しますが、大概の方は住宅購入が人生で一番の買い物です。しかし建てたり、購入して満足してしまう方がやはり一定数おられます
建築物も生き物です。当然劣化します。車に車検があり、劣化部は都度交換する様に建築物にも手を加える必要があります
車には保険が当たり前でも、住宅には?という方が結構おられます。地震保険の加入率も富山県は下位だそうです やはり建物に対する保守の意識が低い様に思います
建物に対しても最低限の保守の意識を持つ事が大事です
③建物にも設備にもデザイン性だけではなく利便性と機能性を
今回伏木地区は大部分が断水になりました。水の有り難味を大変感じました。
建物や設備に対するメリットやデメリットも垣間見えました
エコキュートを導入されているご家庭は最低限の生活用水が使用できたり、タンクがあるタイプの洋便器は都度給水すれば使用できたりと
メリットはたくさんありました。今回ば電気が止まらなかったのも救いです。
例えば上記しましたがエコキュートはタンクがあり、非常用の生活用水に使用できます。ソーラーパネルや蓄電池は停電時に電力供給できるので大変役に立ちます
トイレに関しても最近のオシャレなタンクレストイレは水圧での強制排水しか出来ず多少不便でしたがタンク有の節水トイレは断水でも大変重宝しました
再度記載しますが保険/建物の為の貯蓄は大事です。少なからず修繕、再興の助けになります。今回伏木地区や吉久地区、横田地区では液状化で住宅が多大な被害を受けましたが、保険や貯蓄があれば復興の役に立つはずです。しかし手元に何もないと路頭に迷うのは想像が容易です。
更には建物の倒壊リスクを減らすことです。昭和56年以前に建築された建物は耐震能力が脆弱で行政は耐震補強を進めてきましたが、富山県では今まで大きな地震が無かった為、耐震に対する意識が全国的に低いです。実際耐震化するには市や県の助成金は雀の涙程度ですが今回の被災を期に耐震に対する意識が変わる事を期待します。
屋根の軽量化も今から増えると考えます。瓦屋根には部分補修できたり様々な形の屋根に対応できるメリットがあります。しかしデメリットがその重量です。地震で倒壊する建物の大半は耐震性が脆弱で屋根が瓦の住宅です。頭が重くなければ当然揺れが小さくなり、被害を小さくできるのです
以上、長々と書きましたが今回地震の被害を目の当たりにしていろいろと思う事があったので少しでも参考になればと思い書きました
余計な思いかもしれませんが、今回の地震被害をきっかけにもしも同じような地震があったとしても力強く踏みとどまり再興できる事を願います。